読書記録、たまに日常生活

本を読んで考えたことについてネタバレしないように紹介しようと思います。たまに日常生活について発信していきます。毎日19時に投稿します。

やりたいことに見切りをつけるべきなのか

又吉直樹さんの「火花」を読んだ。

 

☆あらすじ

 お笑いコンビの「スパーク」の徳永が熱海のお祭りの営業で、先輩芸人の神谷と出会う。神谷の「あほんだら」というお笑いコンビは独特な漫才をするコンビで、その漫才を見た徳永は神谷に心惹かれるものを感じた。営業が終わった後、神谷が徳永を飲みに誘いその流れで徳永は神谷の弟子になりたいと懇願し、神谷の伝記を書くことを条件に、神谷の弟子になった。

 徳永はバイトをしながら相方とネタ合わせをする日々を過ごしていった。その努力が少し実り、徳永は少しずつ漫才の番組や深夜帯のテレビ番組にも呼ばれるようになった。

 一方で神谷は自分の考えを曲げることを苦手とし、若手が出演する舞台に立つこともできなかった。神谷はバイトをすることもせず、借金がかさんでいった。それにもかかわらず後輩におごるという行為を繰り返していると、神谷の相方である大林から聞かされた徳永はこれ以上神谷に負担をかけさせまいと考え神谷と疎遠になっていった。

 その後、借金が膨らみ自己破産をした神谷は夜逃げ同然に姿を消し「あほんだら」は事実上解散をした。「スパーク」も徳永の相方が結婚することを機に芸人をやめると言い出した。徳永は相方以外トコンビを組むことは考えられなかったので、徳永も芸人をやめることにし、不動産屋に就職した。

神谷が姿を消してから一年後、徳永のもとに神谷から連絡があった。姿を消していたため事務所をクビにされたが、お笑いに対する姿勢は変わっていなかった。お笑いには個性が必要だと考えた神谷は豊胸手術をしていた。それを見た徳永は引いてしまった。

 正月に徳永が神谷の誕生日祝いに熱海旅行を計画した。そこで素人参加のお笑いコンテストのポスターを見た神谷がネタ作りを始めた。その様子を見た徳永は「生きている限り、バッドエンドはない。僕たちはまだ途中だ。これから続きをやるのだ。」と思った。

 

☆やり続けることは美徳なのか

 

 続けることよりも辞めるという決断をする方がもっと大変なのではないかと私は思う。火花に出てきた人々も、積み重ねた分だけあと一日やれば売れるかもしれない、あと少しでもっと有名になれるかもしれない・・・と感じたと思う。予知能力のない人間にとって、未来に何が起こるかわからないからあと少しあと少しと自分をおい込んでいってしまう。徳永は不動産屋に就職し芸人時代に培った話術を用いて営業をして成功したようだ。何事もやることで得られるものもあるし、やらないと見えてこないものもある。完全に諦めなく他のことをしながら趣味として続けたり、諦めることも選択肢に入れてもいいのではないだろうか。

 

 周囲の目を気にしても意味がない。周囲の人は自分が生きている間、ずっと生活を共にするわけではない。自分の人生で最も時間を共にするのは自分だから、自分の思った通りのことをやるべきだと思う。その点で、私は神谷が芸人を続けたいと思い実行している点を尊敬する。自己破産して周囲からは辞めるように説得されたに違いない。それでも続けられる神谷の精神力を私は尊敬する。

 

 

 日本人はやり続けることを美徳だとする風習がある気がするが、時には逃げることで優位になることがあると思う。一度きりの人生なのだから自分が後悔しないと思う選択をするべきだ。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。