読書記録、たまに日常生活

本を読んで考えたことについてネタバレしないように紹介しようと思います。たまに日常生活について発信していきます。毎日19時に投稿します。

平等に対応するとは何か考えさせられた一冊

今回は伊坂幸太郎さんの「チルドレン」(講談社文庫 2007.5.15初版)という作品を読んだ感想を伝えたいと思う。

 

 

☆あらすじ

 独特な正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。

何気ない日常に起こった5つの物語が1つになったとき、予想しない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編小説。(裏表紙より)

 

☆陣内から教えられたこと

 昨今ジェンダー平等について活発に議論がなされることが多くなったと思う。私はジェンダー平等という言葉にすら疑問を感じていた。女だからと女性をひとくくりにするのはおかしいのではないだろうか、と。人は人、同じ人なんていないし、生き方に形なんてないのだと思う。それをひとくくりにしようとするからおかしくなるのではないかと思っていた。(政治をするうえである程度区別する必要はあるのかもしれませんが...。)

 

 話の中でジェンダー平等については触れられていないが、陣内の考え方にとても共感したしもっとそのように考える人が増える世の中になったらいいのにと感じた。特にそのように感じた、小説のネタバレにはならない程度のエピソードを二つ紹介する。

 

1つ目は陣内の友人である全盲の永瀬との会話の一部である。

永瀬は全盲であり普段は盲導犬と共に行動をしている。そのため街の中にいても全盲であると周囲の人が認知する機会が多く、街の中で声をかけられてたりお金を渡されることがあるそうだ。陣内と待ち合わせをしていた永瀬が陣内を待っている途中に、全く面識のない婦人から5000円を渡された。陣内はそれを知って怒りだす。なぜ、永瀬にだけ5000円をあげ自分にはくれないのか、と。陣内は永瀬に「どうしてお前だけ5000円もらえるのか」と尋ねると永瀬は「目が見えないからじゃないか」と答える。それを聞いた陣内は「そんなの、関係ないだろ」といった。陣内にとっては永瀬のことを一人の人、自分と対等な人間であると認めているからこの発言ができるのではないかと思った。私だったら全盲だから仕方ないかとか、かわいそうという感情が先に出てきてしまうと思った。平等にしないといけないとわかっていても、そういう感情がでてきてしまうと思う。

 

2つ目は陣内が職業である家庭調査官の同僚にアドバイスを指定シーンである。その同僚は家庭調査官として、とある夫婦の離婚についての相談を受けていた。旦那さんは三度目の結婚で、二回とも不倫し離婚しては不倫相手と結婚することを繰り返していた。私は人間としてどうなんだと突っ込みを入れたくなってしまった。しかし陣内はそれはそういう生き方だから仕方ないし、今回も同じだろう、そういう生き方があってもいいのではないかと言っていた。これぞ人に平等に接するということなんだろうと思った。

 

 

陣内のように、人は人とonly one であると考える人が増えたら世界はもっと平和になるのではないかと思う。

 

本日も残りわずかですが、皆様にとって充実した時間になりますように☆